大阪地方裁判所 平成10年(ワ)8394号 判決 1999年8月26日
原告
古本誠之
ほか二名
被告
有限会社大成合金鋳造所
ほか一名
主文
一 被告らは、原告古本誠之に対し、連帯して金三二五万九五三〇円及びこれに対する平成七年八月一六日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
二 被告らは、原告古本京子に対し、連帯して金一〇六万五一九四円及びこれに対する平成七年八月一六日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
三 被告らは、原告古本亮に対し、連帯して金一一万九〇〇〇円及びこれに対する平成七年八月一六日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
四 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
五 訴訟費用は、これを七分し、その六を原告らの負担とし、その余を被告らの負担とする。
六 この判決は、第一項ないし第三項に限り、仮に執行することができる。
事実及び理由
第一請求
被告らは、連帯して、原告古本誠之に対し、金二九八八万四二二七円、原告古本京子に対し、金四三一万五〇〇〇円、原告古本亮に対し、金二七万五〇〇〇円及び右各金員に対する平成七年八月一六日から各支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
第二事案の概要
本件は、被告藤田祐子(以下「被告藤田」という。)運転・被告有限会社大成合金鋳造所(以下「被告会社」という。)所有の普通乗用自動車が原告古本誠之(以下「原告誠之」という。)運転・原告古本京子(以下「原告京子」という。)及び原告古本亮(以下「原告亮」という。)同乗の普通乗用自動車に衝突して原告らが負傷したとして、原告らが、被告藤田に対しては民法七〇九条に基づき、被告会社に対しては自賠法三条に基づき、それぞれ損害賠償を請求した事案である。
一 争いのない事実等(証拠により比較的容易に認められる事実を含む)
1 事故の発生
左記事故(以下「本件事故」という。)が発生した。
記
日時 平成七年八月一六日午後八時三〇分頃
場所 大阪市浪速区立葉一丁目三番一八号先路上(以下「本件事故現場」という。)
事故車両一 普通乗用自動車(なにわ五七つ一九〇六)(以下「被告車両」という。)
右運転者 被告藤田
右所有者 被告会社
事故車両二 普通乗用自動車(なにわ三三の二三五一)(以下「原告車両」という。)
右運転者 原告誠之
右同乗者 原告京子、原告亮
事故態様 原告車両と被告車両とが衝突した。
2 被告会社の責任原因
被告会社は、本件事故当時、被告車両を所有し、これを自己のために運行の用に供していたものである。
3 損害の填補(原告誠之の損害について)
原告誠之は、本件事故に関し、自賠責保険から七五万円の支払を受けた。
二 争点
1 本件事故の態様
(原告らの主張)
本件事故は、原告車両が東から南に第二車線を使って(第一車線には連続駐車車両があったため)左折するべく第一車線上で待機していたところ、被告藤田が被告車両を運転し、南行車線の第二車線を南進していたが、同一方向に併走する自動車に気をとられ、第二車線から第一車線に車線変更した際、前方をよく見ずに漫然と進行し、ハンドル操作を誤って、原告車両の右側面後部に被告車両の左前部を衝突させたというものである。被告藤田には、前方不注視、ハンドル操作不適切、ブレーキ操作不適切の過失がある。本件事故は、被告藤田の一方的な過失によるものである。
(被告らの主張)
原告誠之は、一時停止標識のある道路から中央分離帯のある大きな道路に進入して左折するに際し、一旦停止もしないで自車を第一車線まで乗り入れて急停止したものであり、被告車両の走行を妨害した過失がある。原告らは、第一車線の真ん中で停止していたと主張するが、第一車線を塞ぐまでに漫然と出てきてそこで左折できるかどうか決めるというような交通ルールはない。被告らは、八割の過失相殺を主張する。
2 原告誠之の損害額
(原告誠之の主張)
原告誠之は、本件事故により、頸部捻挫、頭部打撲捻挫、腰部打撲捻挫の傷害を負い、次の損害を被った。
(一) スポーツクラブでのトレーニング代等 二九万六四〇八円
(二) コルセット代等 二万四九九六円
(三) 補助薬代 八二四〇円
(四) 休業損害 合計一五一三万二五三三円
株式会社ウッディ代表取締役休業分 四二〇万円
スナック「ピノキオ」休業分 一〇九三万二五三三円
(五) 逸失利益 一〇一六万二〇五〇円
原告誠之の年齢 症状固定時四九歳
基礎収入 一六一二万六四〇〇円
労働能力喪失率 五パーセント(後遺障害等級一四級一〇号)
新ホフマン係数 一二・六〇三(一八年間)
(六) 傷害慰謝料 一四五万円
(七) 後遺障害慰謝料 八五万円
(八) 弁護士費用 二七一万円
よって、原告誠之は、被告らに対し、連帯して右損害金合計額三〇六三万四二二七円から損害の填補額七五万円を控除した二九八八万四二二七円及びこれに対する本件事故日である平成七年八月一六日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を支払うよう求める。
(被告らの主張)
争う。
本件事故で仕事ができなくなるわけはない。原告誠之主張の収入は信憑性がない。原告の腰部の神経症状は本件事故とは無関係である。
3 原告京子の損害額
(原告京子の主張)
原告京子は、本件事故により、頸部捻挫、左手捻挫の傷害を負い、次の損害を被った。
(一) 休業損害(株式会社ウッディ休業分) 二六二万五〇〇〇円
(二) 傷害慰謝料 一三〇万円
(三) 弁護士費用 三九万円
よって、原告京子は、被告らに対し、連帯して右損害金合計額四三一万五〇〇〇円及びこれに対する本件事故日である平成七年八月一六日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を支払うよう求める。
(被告らの主張)
争う。
本件事故で仕事ができなくなるわけはない。原告京子主張の収入は信憑性がない。
4 原告亮の損害額
(原告亮の主張)
原告亮は、本件事故により、頸部捻挫、頭部打撲の傷害を負い、次の損害を被った。
(一) 傷害慰謝料 二五万円
(二) 弁護士費用 二万五〇〇〇円
よって、原告亮は、被告らに対し、連帯して右損害金合計額二七万五〇〇〇円及びこれに対する本件事故日である平成七年八月一六日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を支払うよう求める。
(被告らの主張)
争う。
5 素因減額(原告誠之について)
(被告らの主張)
原告誠之の腰部の神経症状と本件事故との間に因果関係が認められるときは、元々の素因の寄与するところ大であるから、民法七二二条二項の類推適用による相当な素因減額を主張する。
(原告誠之の主張)
争う。
第三争点に対する判断(一部争いのない事実を含む)
一 争点1について(本件事故の態様)
1 前記争いのない事実、証拠(甲二、三五ないし三八、乙三一1ないし3、三二1ないし3、三三1ないし3、原告誠之本人)及び弁論の全趣旨を総合してみると、次の事実が認められる。
本件事故現場は、大阪市浪速区立葉一丁目三番一八号先路上であり、その付近の概況は別紙図面記載のとおりである。本件事故現場では、南北方向の道路(以下「南北道路」という。)と東西方向の道路(以下「東西道路」という。)とが交差している(以下、右の交差点を「本件交差点」という。)。南北道路は、中央分離帯を有する片側三車線の道路であり、その制限速度は時速五〇キロメートルである。南北道路南行車線の幅員は、第一及び第三車線が三・八メートル、第二車線が三・〇メートルである。東西道路の本件交差点手前には、一時停止規制がある。本件事故当時、本件交差点よりも南方向には南北道路の第一車線上には連続駐車車両が並んでいた。原告車両の助手席には原告京子が、後部座席には原告亮が、同乗していた。
被告藤田は、平成七年八月一六日午後八時三〇分頃、被告車両を運転して、南北道路の第二車線を北から南に向けて時速約六〇キロメートルで走行中、別紙図面<1>地点で第三車線を走行していた車両(同図面で表示された車両)が自車の方に寄ってくるように感じたので、同図面<3>地点で第一車線に車線変更しようとしてバックミラーで後方を確認して左ハンドルを切り、前を見たところ、ゆっくりと東側から出てきて同図面<ア>地点に停止した原告車両を発見した。同じ頃、原告誠之は、原告車両を運転し、東西道路を東から西に向けて走行していたが、本件交差点手前で減速の上、南北道路の見通しを得るため、ゆっくりと同図面<ア>地点まで進んで停止した。被告藤田は、急ブレーキはかけたが間に合わず、同図面<×>地点で被告車両と原告車両とが衝突した(右衝突時における被告車両の位置は同図面<4>地点、原告車両の位置は同図面<ア>地点である。)。原告車両は、右衝突の結果、同図面<イ>地点まで動いた。
以上のとおり認められる。被告藤田は、本人尋問において、原告車両はゆっくりと動いてきたのではなく、飛び出してきたと供述するが、原告誠之は、片側三車線の南北道路に左折進入しようとしていた以上、第一車線まで飛び出して急停止するとは考えがたく、被告藤田の右供述は信用できない。他に右認定を覆すに足りる証拠はない。
2 右認定事実によれば、本件事故は、被告藤田が、第一車線に連続駐車車両があるにもかかわらず、十分な前方の安全確認をすることなく車線変更をし、原告車両を発見した後もハンドルを右に切る等の適切な回避措置を採らなかったために起きたものであると認められる。他方、原告誠之としても、第一車線に連続駐車車両があるといっても、第一車線には余裕があるのであるから、やむをえず緊急避難的に第一車線の開いている部分を(場合によっては第二車線にまたがりながら)走行する車両がないではないことにかんがみると、第一車線全体をほぼ塞ぐ形で待機していたのは問題があるというべきであり、双方の過失を対比し、一割の限度で過失相殺を行うのが相当である。
二 争点2及び5について(原告誠之の損害額、素因減額)
1 治療経過等
証拠(甲三、六、九、一七1ないし14、乙一、二1、三1、四1、五1、六1、七1、八1、九1、一〇1、一一1、一二1、一三1、一四1、一五1、三四)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。
原告誠之は、本件事故日の翌日である平成七年八月一七日、頭痛、腰痛等を訴えて大野記念病院にて診療を受け、頸部捻挫、頭部打撲、腰部打撲捻挫の傷病名で同日から平成九年六月二七日まで通院した。平成七年九月四日からは牽引を中心とするリハビリが実施された。平成七年一一月六日実施のMRI上、第五腰痛・第一仙椎間の椎間板腔狭小、椎間板突出、第四・第五腰椎間の椎間板の膨隆が認められたが、これらについては外傷による椎間板損傷とは考えないが、外傷によることも一〇〇パーセント否定はできないという田中医師の意見が述べられている。リハビリ通院中、平成八年六月一九日には医師からそろそろ通院を終了するかと打診されたが、その後もリハビリ通院が継続された。
大野記念病院の田中医師は、平成九年六月二七日に原告誠之の症状が固定した旨の後遺障害診断書を作成したが、右診断書には、傷病名として、頸部・腰部捻挫が掲げられ、X線写真上若干の年齢的な変化がある以外は異常なく、神経学的にも異常ないが、MRI・CTでは、第五腰痛、第一仙椎間に椎間板ヘルニア様所見が認められ、その原因としては外傷によるものも否定できず、外傷による可能性も大いに考えられる旨の記載がある。
大野記念病院の田中医師は、被告ら代理人による弁護士照会に対し、腰椎には多少の椎間板の変性はあるが、これはこの年齢相応のものであり、特に異常とは考えておらず、外傷によって生じたことも否定できないとの回答を行った。
自賠責保険会社は、自算会を通じて資料を検討した結果、原告誠之は、本件事故の結果、腰部に神経症状を残すものとして、後遺障害等級表一四級一〇号に該当すると判断した。
以上のとおり認められる。
2 症状固定時期、後遺障害等
前認定事実によれば、原告誠之に発現した症状は平成九年六月二七日に固定し、その後遺障害は、後遺障害等級表一四級一〇号(局部に神経症状を残すもの)に該当するものと認められる。
3 素因減額
被告らは、原告誠之の腰部の神経症状について素因減額を主張するが、腰部に年齢不相当の変性等があったものと認めるに足りる証拠はなく、本件において素因減額を行うのは相当ではない。
4 損害額(過失相殺前)
(一) スポーツクラブでのトレーニング代等 一〇万円
原告誠之は、大野記念病院の田中医師から平素の運動が重要であるためスポーツクラブ等への参加が望ましいと指導され(甲二二)、スウェットパンツやタオル等を揃え、フィットネスクラブに入会し、これらのために二九万六四〇八円を支払ったと認められるが(甲二三ないし二七)、甲第二二号証による田中医師の指導は一般的なものにとどまり、原告のリハビリに必要かつ相当な運動の具体的な内容を処方して指示したものと認めるに足りる証拠はないから、右の点を考慮し、一〇万円の限度で認める。
(二) コルセット代等 二万四九九六円
原告誠之は、本件事故の結果、コルセット代等として標記金額を要したものと認められる(甲二八ないし三一)。
(三) 補助薬代 認められない。
補助薬が本件事故による治療のために必要かつ相当であったと認めるに足りる証拠はない。
(四) 休業損害 一六四万八一〇一円
まず、休業損害算定における基礎収入について判断するに、証拠(甲一〇ないし一二、原告誠之本人、原告京子本人)及び弁論の全趣旨によれば、本件事故当時、原告誠之(昭和二二年一〇月七日生)が株式会社ウッディ(以下「ウッディ」という。)の代表取締役であったこと、ウッディの役員報酬は月額三五万円であったこと、原告誠之はスナック「ピノキオ」(以下「ピノキオ」という。)のオーナーとしてカウンター内で客席や接客を中心とする仕事をしていたこと、ピノキオは赤字経営であったことが認められ、右事実を総合すれば、本件事故当時における原告誠之の休業損害算定上の基礎収入額は、年額七〇三万円とするのが相当である。原告誠之はピノキオから多額の収入を得ていたと主張するが、これを証する的確な証拠はない。
前1認定の事実によれば、原告誠之は、本件事故日の翌日である平成七年八月一七日から同年九月四日までの一九日間は完全に休業を要する状態であり、同月五日から平成八年六月一九日までの二八九日間は平均して一四パーセント労働能力が制限される状態であり、同月二〇日から平成九年六月二七日までの三七三日間は平均して七パーセント労働能力が制限される状態であったと認められる。原告誠之が右認定以上に休業を要する状態であったことを認めるに足りる証拠はない。したがって、休業損害は次の計算式のとおりとなる。
(計算式) 7,030,000×19/365+7,030,000×0.14×289/365+7,030,000×0.07×373/365=1,648,101(一円未満切捨て)
なお、原告誠之は、休業期間の終期を平成八年八月一六日として主張するが、これは完全休業とセットでの主張であり、休業損害の認容額は原告誠之主張額以内であるから、弁論主義に反するものではない。
(五) 逸失利益 五九万八六〇四円
前認定のとおり、原告誠之の後遺障害は、自賠責保険に用いられる後遺障害別等級表一四級一〇号に該当するものであり、右後遺障害の内容に照らすと、原告誠之は、その労働能力の五パーセントを症状固定時(四九歳)から二年間にわたり喪失したものと認められる。
原告誠之の逸失利益算定上の基礎収入は、前(四)認定の事情からすると、年額七〇三万円とするのが相当である。
以上を前提とし、原告誠之の本件事故時の年齢は四七歳であるから、新ホフマン式計算法により、年五分の割合による中間利息を控除して、後遺障害による逸失利益を算出すると、次の計算式のとおりとなる。
(計算式) 7,030,000×0.05×(3.564-1.861)=598,604(一円未満切捨て)
(六) 傷害慰謝料 九〇万円
原告誠之の被った傷害の程度、治療経過等の事情を考慮すると、右慰謝料は九〇万円が相当である。
(七) 後遺障害慰謝料 八五万円
前記のとおり、原告誠之の後遺障害は、自賠責保険に用いられる後遺障害別等級表一四級一〇号に相当するものであり、原告誠之の右後遺障害の内容及び程度を考慮すると、右慰謝料は、八五万円が相当である。
5 損害額(過失相殺後)
右4に掲げた損害額の合計は四一二万一七〇一円であるところ、前記の次第で一割の過失相殺を行うと三七〇万九五三〇円(一円未満切捨て)となる。
6 損害額(損害の填補分控除後)
原告誠之は、本件交通事故に関し、自賠責保険から七五万円の支払を受けているから、前記過失相殺後の損害額からこれらの支払分を控除すると、残額は二九五万九五三〇円となる。
7 弁護士費用
本件事故の態様、本件の審理経過、認容額等に照らし、相手方に負担させるべき原告誠之の弁護士費用は三〇万円をもって相当と認める。
8 合計
損害の填補分控除後の残額に弁護士費用を加算すると、三二五万九五三〇円となる。
三 争点3について(原告京子の損害額)
1 治療経過等
原告京子は、本件事故日の翌日である平成七年八月一七日、左手の痛み、頸部痛等を訴えて大野記念病院にて診療を受け、頸部捻挫、左手捻挫の傷病名で同日から平成八年六月一九日まで通院治療を受けた。平成七年九月四日からは牽引を中心とするリハビリが実施された。後遺障害は残存しなかった(甲四、七、乙三五、原告京子本人、弁論の全趣旨)。
2 損害額(過失相殺前)
(一) 休業損害(株式会社ウッディ休業分) 三二万二四三八円
原告京子は、本件事故当時、株式会社ウッディに勤務し、月額二五万円の収入を得ていたと認められ(甲一三)、右事実によれば、本件事故当時における原告京子の休業損害算定上の基礎収入額は、年額三〇〇万円とするのが相当である。
前1認定の事実によれば、原告京子は、本件事故日の翌日である平成七年八月一七日から同年九月四日までの一九日間は完全に休業を要する状態であり、同月五日から平成八年六月一九日までの二八九日間は平均して七パーセント労働能力が制限される状態であったと認められる。原告京子が右認定以上に休業を要する状態であったことを認めるに足りる証拠はない。したがって、休業損害は次の計算式のとおりとなる。
(計算式) 3,000,000×19/365+3,000,000×0.07×289/365=322,438(一円未満切捨て)
(二) 傷害慰謝料 七五万円
原告京子の被った傷害の程度、治療経過等の事情を考慮すると、右慰謝料は七五万円が相当である。
3 損害額(過失相殺後)
右2に掲げた損害額の合計は一〇七万二四三八円であるところ、前記の次第で一割の過失相殺を行うと九六万五一九四円(一円未満切捨て)となる。
4 弁護士費用
本件事故の態様、本件の審理経過、認容額等に照らし、相手方に負担させるべき原告京子の弁護士費用は一〇万円をもって相当と認める。
5 合計
過失相殺後の損害額に弁護士費用を加算すると、一〇六万五一九四円となる。
四 争点4について(原告亮の損害額)
1 治療経過等
原告亮は、本件事故日の翌日である平成七年八月一七日、悪心、嘔吐を訴えて大野記念病院にて診療を受け、頭部打撲、頸部捻挫の傷病名で同日から治療を受け、次第に軽快し、同年九月一一日まで通院治療を受けた(甲五、乙三六)。
2 損害額(過失相殺前) 一一万円
原告亮の被った傷害の程度、治療経過等の事情を考慮すると、傷害慰謝料は一一万円が相当である。
3 損害額(過失相殺後)
右2に掲げた損害額につき、前記の次第で一割の過失相殺を行うと九万九〇〇〇円となる。
4 弁護士費用
本件事故の態様、本件の審理経過、認容額等に照らし、相手方に負担させるべき原告亮の弁護士費用は二万円をもって相当と認める。
5 合計
過失相殺後の損害額に弁護士費用を加算すると、一一万九〇〇〇円となる。
五 結論
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 山口浩司)
別紙図面